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#229 スウェーデンの断熱リノベーション

パッシブハウス

 

Tjena! 

 

スウェーデン本国仕様住宅に

使われている断熱材(ロックウール)の

プレゼンをまとめていたら、興味深い

資料があったので、ご紹介します。

 

スウェーデンの断熱リノベーションで、

断熱性能の「ビフォー・アフター」、

その仕様と消費・損失量の比較です。

 

Ref. Paroc Konstruktion&Passivhus

 

ビフォーの住宅モデルはというと、

1970年代のオイルショック以前、

つまり、築40年以上の家です。

 

断熱リノベーション

 

まず、驚いたのが、その仕様です。

外壁の断熱材:95mm

屋根天井の断熱材:100mm

木製窓:2層ガラス

 

???

これって、今の日本で、高断熱住宅と

呼ばれている仕様と変わりませんね?

 

ちなみに、この家で、

1年間の消費エネルギーが、35,000 kWh

その内、住宅の外皮(境界構造)からの

エネルギー損失が、23,500 kWhです。

 

その値は、置いといて、続いて

アフターの住宅モデルは、「現在」で、

この資料では、断熱リノベーションをした

場合の仕様が以下となります。

 

断熱リノベーション

 

外壁の断熱材:240mm厚(3層の断熱層)

屋根天井の断熱材:400mm

木製窓:3層断熱ガラス

 

???

さらに驚きですね!

これって、日本でいう、パッシブハウス

に近い仕様ではないでしょうか?

 

この結果、

1年間の消費エネルギーが、15,000 kWh

・・・マイナス20,000 kWh

 

その内、住宅の外皮(境界構造)からの

エネルギー損失が、7,500 kWh

・・・マイナス16,000 kWh

 

実に、莫大なる省エネ効果です!

 

 

ちなみに、こんな資料もありました・・・。

パッシブハウスの外壁の断熱構成です。

 

外壁の断熱材:505mm厚(4層の断熱層)

外壁の熱貫流率:U=0.080 w/m2k

 

パッシブハウスの外壁仕様

 

外断熱:45mm厚(d2

主体構造:195mm厚(d1

内断熱:195mm厚(d3

気密シート

内断熱-270mm厚(d4

 

こんな4層の断熱構成です。この仕様は、

日本で、何と呼べば良いのでしょうか・・・?

 

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*Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。

 

>「スウェーデン本国仕様の住宅」詳しくはこちら

 

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author:Akio Kanaida, category:断熱材, 09:00
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#171 外壁断熱の性能と厚さ

スウェーデンの住宅

 

Tjena!

 

「スウェーデン住宅の断熱性能は、

どの程度なのですか?」・・・と

よく質問を受けます。

 

「現在、スウェーデンで省エネ住宅といえば、

外壁の断熱材の厚さが30cmから40cm

仕様が常識で、一般的なもので20cm程度、

それ以下の厚みは、サマーハウス(夏の別荘)

で使われています」とお答えしています。

 

これは、「断熱材の厚さ」なので、実際の

外壁の厚みはもっと厚くなるわけです!

 

断熱材は、主に、ロックウールや

セルローズファイバーといった繊維系です。

 

断熱材の種類によってその断熱性能

(熱伝導率)は違いますが、ざっくり言うと、

 

日本の次世代省エネ基準で、9cm(関東)、

13.5cm(北海道)・・・と比べると、

省エネ性能は雲泥の差と言えるでしょう!

 

なぜならば、基本的に、断熱材の厚さは、

住宅の熱損失抑制とほぼ比例の関係で、

熱損失は、消費暖房(冷房)エネルギーと

ほぼ比例の関係にあるからです。

 

つまり、大雑把な考え方では、

断熱材が厚いほど省エネになるのです!

 

そして、続いて受ける質問が、

「どうやって、そんなに厚い断熱材を

充填しているのですか?」

 

といった素朴な疑問です。

確かに不思議ですよね・・・。

 

実は、スウェーデンの住宅(木造)では、

断熱層が3層構造!になっているのです。

 

外壁断熱-断面

 

スウェーデン住宅の外壁断面図を見ると、

主体構造に断熱材を充填(d1)するだけでなく、

室内側(d3)と外側(d2)にも断熱材が

付加されているのがわかります。

 

主体構造の室内側に枠材を組んで、

断熱材を充填すれば、内断熱。

 

同様に、主体構造の外側に枠材を組んで、

断熱材を充填すれば、外断熱。

 

外壁の断熱材の厚みはd1+d2+d3、つまり、

主体構造の充填断熱 + 外断熱 +内断熱、

それぞれの厚みの合計となる計算です!

 

外壁断熱-U値

 

主体構造の厚みを195mm45x195のたて枠材)、

内断熱の枠材を45mm、外断熱の枠材を70mm

とすれば、断熱材の合計厚さは310mmとなり、

その断熱性能は、熱貫流率で0.148w/m2kです!

 

この3つの層の厚みを組み合わせることで、

30cm40cmといった断熱材の厚さを実現し、

外壁断熱の性能を上げている・・・のですね。

 

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* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。

 

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#133 断熱の断面構成と気密

スウェーデンの外壁ブロック

 

Tjena!

 

今回は、外壁の断熱性能を増す時に、

重要となる断熱の断面構成と気密について、

詳しくご説明したいと思います。

 

外壁の断熱材の厚みが、30cm40cmといった

スウェーデンの住宅では、外壁の断熱層を

3つに分けて構成しています。

 

スウェーデンの外壁断面

* 外壁の断熱層:Parocの資料より

 d1:中心層の断熱

 d2:外部層の断熱

 d3:室内層の断熱

 

例えば、たて枠材に45x145材を使って内部に

断熱材を充填すると、中心層は145mm厚です。

 

外側は、外断熱用に95mm厚の枠組みを作れば、

外部層は95mm厚となります。外部層の外側は、

防水透湿シートで通気できるようにします。

 

スウェーデンの外壁ブロック

* 白色が防水透湿シート(タイベック)

 

そして内側は、中心層の内側に気密シートで気密層を

取ってから、内断熱用に45mm厚の枠組みを作ると、

室内層は45mm厚となります。まとめると、

 

外部層:95mm

中心層:145mm

室内層:45mm

 

合計、95+145+45=285mm厚の断熱層です!

 

中心層は、建物の主体構造であるので、

在来工法であれば、柱材の105mm、又は120mmで、

ツーバイフォー工法であれば、たて枠材の89mm(2x4)

140mm(2x6)184mm(2x8)と決まります。

スウェーデンでは、95mm120mm145mm170mm

195mm220mm・・・と選べます。

 

外部層は、熱橋の少ない外断熱となり効果的です。

断熱の厚みを増すほどに断熱性能は上がります。

厚みの増した断熱材と外装材をどのように支持できるか?

によって厚みが選択されます。スウェーデンでは、45mm

70mm95mm・・・と組み合わせています。

 

これに対し、室内層は、電気配線や給水管など

設備用の厚みとしてどれだけ必要か?によって決まります。

スウェーデンでは通常、45mm薄くしています。

 

スウェーデンの外壁ブロック

* 45mm厚の室内層に配線用ダクトを埋め込む。この後、断熱材を充填。

 薄水色が気密シート(気密層)

 

どうしてここだけ薄いのか?というと、室内層には、

室内の湿気が入り込んでくる事を想定しているからです!

この層が厚く内部に温度差ができると、冬場に室内層で

壁内結露リスクが高まってしまうから・・・なのです。

 

スウェーデンでは、外部層、中心層、室内層と断熱材は

同じロックウールを充填するのが一般的なので、

室内層は薄めに、中心層と外部層については、合計の厚みで

できるだけ厚くすることがポイントになります。

 

断熱の厚みと性能

* 断熱材の増やし方:Parocの資料より

 d1:中心層の厚み(mm

 d2:外部層の厚み(mm

 d3:室内層の厚み(mm

 

各層で断熱材の種類を変えるのであれば、室内層は、

室温に近い温度状態が保てるもの。そして、湿気を

溜め込まずに室内へ再放出できるものがベターです。

中心層は、構造体の隅々まで充填できるもの。

外部層は、軽くて断熱性能の良いものが効果的です。

 

断熱性能が極端に高い素材を用いれば、

中心層と外部層の合計の厚みはもっと薄くできるでしょう。

しかし、実際には、外壁内部の温度差が激しく狭い空間に、

なんらかの原因で湿気が大量に流入してしまった場合、

壁内結露が起こり致命的なダメージを受けてしまいます・・・。

 

壁厚があると居住空間が狭くなると懸念されますが、

外壁の厚みを取ることは重要であり、壁内結露を

何十年とリスク回避する知恵でもあるのです。

 

  ∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞

 

* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。

 

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#132 断熱と気密の取り方

スウェーデンの外壁サンプル

 

Tjena!

 

今回は、断熱材の断面構成と気密の取り方について

質問を頂いたので、スウェーデン住宅における

気密の取り方についてご紹介します。

 

 

質問:

「弊社では、ツーバイシックスの躯体の外側に

外断熱(80mmミネラルウール)で展開していますが、

ZEHに向けて、さらなる外皮の高性能化として、

躯体内側の断熱も施し、トリプル断熱も考えています。

その際の、断面構成や気密の取り方など、

スウェーデンの事例を教えて下さい。」

 

 

断熱性能は、断熱材*を決めると、後は、

その厚みで性能が決まるので、外壁の断熱層が、

1層でも2層又は3層でも、基本は、

「厚みの合計 = 断熱性能」となるので、

その断面構成(厚み)は自由です。

 

*スウェーデンではロックウール等が主流

 

 

しかし、気密層の取り方は注意が必要です。

 

外壁の断熱層は、外側と室内側とで、かなりの温度差と

なります。例えば、外気温:マイナス10℃、

室温:20℃であれば、その温度差は30℃です!

 

ということは、断熱層にある空気が、外側付近で

冷やされ、空気に含まれた水蒸気が液化して水になる

「壁内結露」のリスクが高まります。

 

壁内結露のリスクが最も高まる状態が、真冬で、

外気温がとても低く、室内が暖房された状態です。

室内の暖かい空気はたくさんの水蒸気を含んでおり、

外気温が低いほど、壁内の温度差が大きくなるからです。

 

これを防ぐには、水蒸気を壁内へ入れないことです。

つまり、外壁の室内側に気密層を取ります。

 

外壁の外側にも気密層を取れば、外気の水蒸気(湿気)

も入ってこない・・・のですが、こうしてしまうと、

壁内結露を起こし、内部が腐ってしまいます・・・。

 

なぜなら、施工時点で壁内には、すでに水蒸気が

ある程度存在し、かつ、雨風を伴う台風などに対して

100%気密を取ることは、現実的に不可能だからです!

 

したがって、外壁の外側には、水は通さないが湿気は通す層、

いわゆる防水透湿シートを張るわけです。こうすることで、

内部の水蒸気は、外気へと抜けるようにしておきます。

 

この考え方は、スウェーデンも日本も同じなのですが、

スウェーデンの気密層は、よく見ると、室内側ではなく、

断熱層で1層分、壁内に気密層を取っているのです。

 

スウェーデンの外壁断面

* 外壁の断熱層:Parocの資料より

 手前・外装材側の灰色が防水透湿シート

 奥・室内側の白色が気密シート(位置に注意!)

 

 

実はこれ、長期的に気密性能を保持するためなのです!

住宅の現場を見ると一目瞭然ですが、外壁の中には、

電気配線や給水管などがたくさん埋め込まれます。

 

室内側に気密層があると、これら全てが気密シートを

突き破る、つまり穴を開けて、周囲をテープで貼って

すべてを補修していく必要があります・・・。

 

スウェーデンの外壁ブロック

* 水色が気密シート(気密層)

 

そこで室内側1番目の断熱層では気密を取らずに、

壁内側の2番目の断熱層で気密を取っているのです。

こうすれば、室内側1番目の断熱層は、電気配線や

給水管用に穴を開けても何ら問題ないからです。

 

 ∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞

 

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#130 断熱性能の可変 その2

スウェーデンの外壁断面

 

 

Tjena!

 

スウェーデン住宅の断熱性能は、外壁の断熱材の

厚さでいうと、20cm30cm40cm程度もある・・・

とお話しましたが、日本の住宅でも可能なのです。

 

一度に断熱材を充填しようとするのではなく、

スウェーデンのように、外壁の断熱層を3つに分け

構成することで、断熱性能を可変できるのです!

 

日本の在来工法であれば、柱は105x105mmですね。

105mm厚の外壁には、内部に筋交いがあって、

水平の地震力に耐える構造となっています。

 

これまでの考え方では、壁厚105mmの内部にある

空洞へ断熱材を充填するので105mm厚が最大です。

構造的には、105mm厚でも十分でも、断熱的には、

決して十分な量ではありません・・・。

 

そこで、この105mm厚の壁を中心層と考えて、

室内側に内断熱(室内層)、外側に外断熱(外部層)を

組み合わせれば、外壁の断熱材の厚みを増やせる・・・

つまり、断熱性能を上げられるというわけです!

 

室内層や外部層の厚みは、日本の規格サイズ、

例えば、45mm厚や105mm厚が使えます。

これらは、断熱用に準備する枠組みなので、

中心層のように細かな構造用規定は不要となります。

 

在来工法で195mm厚断熱

* 在来工法で45+105+45=195mm厚の断熱材を充填

在来工法で195mm厚断熱

 

しかし、筋交いを使った在来工法では、

厳密に言うと、木部の筋交いは、熱が逃げて

しまう「熱橋」となってしまいます・・・。

 

それを防ぐには、水平の地震力に対して、

筋交いではなく、構造用合板を用います。

こうすれば、断熱材をフル充填することができ、

合板が断熱材を抑える役割も果たします。

 

そうですね。ツーバイフォー(枠組み壁工法)

と同じような構造と断熱方法となるわけです。

 

在来工法の柱も、120x120mmを使えば、

中心層は、120mm厚となりますし、

断熱用に準備する枠組み材も、在来用だけでなく、

ツーバイ材も使用すれば、厚みの選択と

組み合わせは多種多様にもなりますね!

 

ところで、住宅の省エネを考えると、外壁の厚さが

30cm40cmも必要なのは理解できますが、

「そんなに厚い壁だと住居スペースが狭くなって

しまいますよね?」・・・とよく聞かれます。

 

スウェーデンでは、外壁の内側で面積を表示

しているので問題になりません。

 

スウェーデンの住宅図面

* INV. = 内側寸法 (mm) :スウェーデンの住宅図面より

 

一方、外壁の中心(構造材の中心)で押さえて

面積を表示している日本では、壁厚が厚い程に、

実際の住居スペースが狭くなってしまいます・・・。

 

これまでのように、外壁の厚さが10cm程度であれば

問題がなかったものの、30cm40cmといった

外壁の厚さとなってくると、図面の表記も

変えていく必要がありそうです。

 

  ∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞

 

* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。

 

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