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#088 スウェーデンの換気システム
熱交換機

Tjena!
 
スウェーデンでも日本と同じように、
3種換気が一般的ですが、省エネ住宅仕様では、
排気熱を回収(熱交換器)できる第1種換気が常識です。
寒さが厳しい環境ほど、住宅の換気による
熱損失が大きくなってしまうからです。
 
住宅の換気では、冬の場合、例えば、
7の冷たい外気を常に室内へ取り入れ、同時に、
室内の暖めた23.1の空気を外へ捨てています。
 
室内は、7の冷気によって温度が下がらない
ように暖房し、室温を23.1に保っています。
つまり、換気風量に対し、7の空気を、
23.1まで上げる暖房能力が必要です。
 
これに対し、熱交換器を使うと、外へ捨てていた
空気(排気)から熱だけをかなり回収できます。
スウェーデン製熱交換機では、その回収率(熱交換率)が
なんと84*! ほとんどの熱を回収できています。

*スウェーデン国立試験場(SP)による測定結果
Intyg nr 7912.87)モデル平均84%、最大87%。

熱交換素子
 
熱交換素子/スウェーデン製熱交換機 TemoVex

測定値の例で見ると、23.1の排気熱で、7の外気を、
なんと22.9まで上げてしまう程なのです。その結果、
 
7の空気を、23.1まで上げる」のではなく、
22.9の空気を、23.1まで上げる」だけの
 
暖房能力で済むので、いかに省エネか一目瞭然ですね。
これがスウェーデン製熱交換機の性能です。

熱交換の性能

熱交換器の性能/スウェーデン製熱交換機 TemoVex

熱交換機には、4本のダクト(菅)が接続されています。
新鮮外気導入菅、室内への給気菅、室内からの排気菅、
そして屋外への排気菅です。
 
換気システムは、熱交換機とこれらのダクトシステム
によって成り立っています。熱交換機は、
それぞれの空気をファンで送風し、熱交換し、
フィルターで汚れを除去します。
 
ダクトシステムは、外から空気を取り込み、
各部屋(給気ゾーン)へ空気を配り、各部屋(排気ゾーン)から
空気を回収し、最後に、空気を屋外へと流しています。
 
ダクトシステムは、かなりの長さになるので、
できるだけ空気抵抗の低い形状と材質にしないと、
ファンの消費電力が増えてしまいます。
 
そのため、スウェーデンのダクトシステムは、
スパイラルダクトを使っています。スパイラルダクトは
空気抵抗が極端に少なく、汚れが付着しにくく、
耐久性があります(メリット)。

ダクトシステム
 
ダクトシステム/スウェーデン製スパイラルダクト Lindab VM

その反面、デメリットは、ダクトの菅径が大きい事です。
換気風量によりますが、一般住宅で使われる菅径は、
直径が160mm125mm100mmです。
ダクトシステムは、しっかりと設計して、天井での配管スペースや
部屋にPS(パイプスペース)を確保する必要があります。
 
換気システム用の空間が必要になるため、その分、
床面積や住空間が狭くなってしまいます。それでも、
熱交換機やダクトシステムは、高断熱・高気密住宅において、
重要な「設備」なので、「場所」を必ず取るようにします。
 
  ∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞
 
* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。
 
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author:Akio Kanaida, category:換気システム, 09:00
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#087 第1種換気と住環境の制御
TemoVex-System

Tjena!
 
気密性の高い、高断熱・高気密住宅では、
2時間毎に、家中すべての空気を外気と交換し
続ける換気(換気回数:0.5/時)を行います。
 
一般的な換気システムは、第3種換気で、
設置も比較的簡単で、費用も安いのがメリットです。
 
デメリットは、冬であれば外の乾燥した冷気が、
夏であれば外の湿気の多い暑い熱気が、
住宅のあちらこちら(外壁に設置された給気口)
から常に入ってきてしまうことです・・・。
 
第3種換気

これに対しスウェーデンでは、給気口を窓付近へ
計画的に配置し、その下に、温水パネルヒーターを
設置することで、冬でも住宅内部すべてが
安定した暖かさを保っています。
 
夏に関しては、外と室内との温度差が冬ほど
大きくないため、温度を下げるというより、
室内へ入ってきた外気の湿気を取る方が重要です。
(同じ温度でも湿気が多い方が不快に感じるため)
 
冷水パネルクーラーのように、室内空気を直接
結露させ、湿気を取り除く方法が有効となります。
この冷水システムであれば、1箇所で冷水を作り、
それを住宅内の複数の必要箇所に送れるからです。
 
除湿という意味では、通常のルームエアコンでも
可能ですが、そうすると、除湿すべき箇所が一つの家で
5、6箇所にもなり、エアコンの設置費用が増えてきます。
これは、冷房も暖房も同じことが言えますね。
 
また、よくよく考えてみると、
たくさんある給気口からは、埃や煤煙、花粉、
PM2.5といった汚染物質も入ってきます・・・。
 
では、どうすればいいのか?というと、
もう一度原点に戻り、断熱・高気密住宅では、
換気と冷暖房と一緒に使うことを前提とした
システムで考えていけばいいのです。
 
それが、第1種換気システムです。
排気のみ機械ファンで行う第3種換気に対して、
排気と給気の両方を機械ファンで行う換気システムです。

第1種換気

スウェーデンでも第3種換気はまだ一般的ですが、
省エネ住宅仕様では、第1種換気が常識です。
なぜならば、第1種換気であれば、住宅の換気過程で、
排気と給気とを一箇所に集められるからです。
 
そしてその箇所に、熱交換器を取り付ければ、
換気による熱損失の大部分を回収できます。
 
高性能フィルターを取り付ければ、
外気からの汚染物質をシャットアウトし、
室内からのゴミや埃までも回収できます。
 
また、空気(給気)を室内へ配る前に、
暖房ユニットを通せば、全室暖房が可能となり、
冷房ユニットを通せば、全室冷房でき、しかも、
ここで空気を結露させ除湿までできます。
 
RT400Sの内部

スウェーデン製熱交換機 TemoVex

給気と排気

このように第1種換気であれば、熱損失、暖房、
冷房・除湿、空気環境といった住環境を一箇所で
制御できる合理的なシステムを組めるのです!
 
とは言っても、第3種換気に比べ、
導入費用は高くなってしまうのが現実ですね。
ランニングコストが抑えられるので、
その回収の目安は、約10年と言われています。
 
しかし、スウェーデンの住宅づくりを見ると、
断熱構造や窓、玄関ドア、熱交換機(換気システム)など、
住宅の性能に対して、かなりお金をかけています。
 
だからこそ、住宅も木造住宅で100年以上の
耐用年数を誇り、高い資産価値も生み出しているのでしょう。
日本ではまず、換気と冷暖房のシステムだけでなく、
住宅づくりにおいても、もう一度原点に戻り、住宅の
構成と設計をマネジメントし直す必要がありそうです・・・。
 
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* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。
 
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author:Akio Kanaida, category:換気システム, 09:00
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#086 換気システムと冷房
オーニングと遮熱

Tjena!
 
「スウェーデンって夏はあるのですか?」
と質問されることがあります。
スウェーデンというと、寒さが厳しく真っ暗で
オーロラが出現するところ・・・といった
イメージが強くあるためです。
 
スウェーデンも夏はあって、しかも快適です!
だいたい25℃くらいで、何度か30℃を超える
日があります。とはいっても湿度が低いため、
日陰に入ればかなり快適なのです。
 
一番驚くのは、日がとっても長い!ことでしょう。
私が住んでいたUppsala(ウプサラ)*では、
夜の22時頃に日が沈み、朝の3時頃に日が昇ります。
太陽は沈んでも、北の地平線近くにあるため、
24時頃でも北の空は明るいのです・・・。
*Uppsalaは首都Stockholmの約60km北の街)
 
これがもっと北の北極圏の方へ行くと、
太陽は沈まず、そのまま上昇し始めます。
一日中昼間で夜がなくなる、つまり白夜です。
 
スウェーデンの夏はこんな感じなので、住宅の窓には、
オーニングやブラインドがよく使われています。
開口部のオーニングを下せば、昼間の太陽からの日射熱、
長い夕日の正面からくる太陽光を防ぐことができます。

ブラインド内蔵型の窓 ブラインドと遮熱
 
ブラインドを下ろし、フィンの角度を調節すれば、
日射熱や太陽光をシャットアウト、白夜(明るい夜)でも、
室内を暗くして眠ることができるわけです。
デザインや装飾のように見えるオーニングや
オフィスのような窓に内蔵されたブラインド、
実はこのような背景があったわけなのですね。
 
さて、換気と冷房の話が全く出てきませんが、
ここで長い前置きを終え、本題に入りましょう。
高温多湿の日本において、スウェーデン住宅のような
高断熱・高気密住宅を建てると、冬はいいけど、
夏は暑くてダメ!ぜんぜん省エネにならない・・・
ことが多々あります。どうしてでしょうか?
 
それは、住宅の外壁や窓の断熱性能がよいので、
暑い外気の熱は室内へ「伝導」しにくくなっていますが、
窓のガラス面から、「太陽の日射熱」がガンガン
室内へ入ってきてしまっているからです!
 
また、住宅の気密性能がよいので、2時間毎に、
家中すべての空気を外気と交換し続ける換気
(換気回数:0.5/時)を常時行っているため、
この換気によって、「暑い外気の熱と湿気」も常に、
わずかながら室内へ入ってきています。
 
この窓ガラス面からの「太陽の日射熱」と、換気による
「暑い外気の熱と湿気」の制御がなされていないと、
室内が異常に暑くなってしまうのです・・・。
 
ここで長い前置きを思い出して下さい。
そうですね。オーニングや窓に内蔵されたブラインドを
使えば、「太陽の日射熱」を制御できますね!
 
「暑い外気の熱と湿気」はどうしましょう?
横浜で行われている次世代型住宅プロジェクトでは、
冷水パネルクーラーを使って、室内空気の
湿気を取り除き、冷房まで行っています。

超断熱の窓 冷水パネルクーラー
 
冷水パネルクーラーには結露水がびっしり!
それだけたくさんの除湿をしている証拠です。
冷んやりとした空気が、強い送風ではなく、
まるで洞窟の中のように「すうっと」流れてきます。
 
日射熱や冷房・除湿の制御を、遮熱ガラスや
エアコン(冷房空調)で、当たり前に行う現代。
アナログ的でありながらこの心地よい住環境・・・。
住環境の創り方を考え直す必要がありそうです。
 
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* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。

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author:Akio Kanaida, category:換気システム, 09:00
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#085 換気システムと暖房
スウェーデンの住宅

Tjena!
 
「寒さの厳しいスウェーデンの住宅では、
どのような暖房システムを取っているのですか?」
とよく質問されます。
 
このような方は大抵、高断熱・高気密住宅を
熟知しており、暖房の難しさを知っている人です。
 
スウェーデンでは、大部分が地域暖房で、
温水が各家庭に配られていますので、その温水を
利用した温水パネルヒーターや床暖房が主流です。
 
家全体を、高断熱・高気密に仕上げれば、
熱損失が低いため、最小限の暖房で、すべての部屋が
暖かく快適なはずですが、上手に暖房計画をしないと、
寒い部屋が結構出てきてしまいます。
 
これは、換気システムと深い関係があります。
 
高断熱・高気密住宅では、当然、気密性が高いため、
2時間毎に、家中すべての空気を外気と交換し
続ける換気(換気回数:0.5/時)が必要です。
 
ということは、せっかく暖めた空気を外に捨てながら、
寒い外気が室内へ常に入ってくる・・・わけです。
 
最も一般的な換気システムは、第3種換気*ですね。
これはスウェーデンも同じです。この場合、
どこからその寒い外気が入ってくるかというと、
各部屋の外壁に取り付けられた給気口からです。

*排気のみ機械ファンで行う。室内が負圧になるため
 外気は外壁の給気口から自然導入される)
 
したがって、給気口からは常に冷気が来るため、
この部屋を暖房しないと(熱源を与えないと)
その部屋は冷やされて寒くなっていきます。
 
よくよく考えると、給気口は、換気のための
新鮮外気を導入している箇所なので、リビングや
寝室、ダイニングなどほとんどの部屋にあります。
 
では、一体どうすればよいのでしょうか?
ここが暖房の難しいところです。
結果、高断熱・高気密住宅なのに、各部屋に
エアコン(暖房・冷房)を設置することになります。

パネルヒーター
 
こうした視点で、スウェーデンの暖房システムを見ると、
非常に合理的な方法を取っています。給気口の下に
必ず温水パネルヒーターを設置しているのです!
しかも、給気口は、窓付近に取り付けています。
 
つまり、部屋単位で考えると、部屋を冷やしているのは
主に給気口の冷気と、窓辺からのコールドドラフト*なので、
その直下に熱源を与えることで、暖かい空気の上昇気流で、
その冷気とコールドドラフトをなくしてしまうわけです!

*冷たい窓辺から発生する下降冷気)
 
パネルヒーター

しかも、窓下から暖かい空気が来るので、
窓のガラス面もまず結露することはないでしょう。
床暖房も、そこまで直接的ではないものの、
同様の効果が期待できます。
 
日本の場合は、地域暖房の代わりに、各家庭で
電気やガスから温水を作り出す設備を利用すれば、
同様の暖房システムを組み上げることができます。

  ∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞・∞
 
* Tjena! は、スウェーデン語で「どうも!」の意味です。
 
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